JR市川駅の南口には、駅前再開発によりツインタワーが建設され、いかにも現代的な駅前の様子だ。とはいえ、ツインタワー以前から市川駅前に存在していた飲食店もあったわけで、そんなお店はツインタワーの麓に設けられた店舗フロアで営業を続けている。おそらくは、そんなお店の1つであろう、「とり吉」にお邪魔してみた。
「とり吉」が営業しているのは、船橋側のツインタワーの麓、それも、JR市川駅から見るとツインタワーの裏側になる場所だ。駅前側と比較すると、ふらっと立ち寄る可能性があるお客さんの数を考えると不利な印象ではあるが、それでも、「とり吉」の前を通りがかった際にはいつでもカウンターにはお客さんが並んでいて、前々から気にはなっていた。つまり、「とり吉」を目指して訪れているお客さんがわんさかいるってことだろう。
店頭はいつの間にか改装されて、新しくなっていた。そして、店頭にはなぜか野菜が並んでいた。そして、店内には会計待ちのお客さん。
お客さんが帰った直後ということで、カウンター…かと思ったら、外からみると分からないが、奥にテーブル席があった。カウンター席で厨房の様子を眺めながら…というのも悪くなさそうだったけど。店内には、お客さんの話し声と笑い声が入り交じり、店員さんが注文を聞いたり、料理やお酒を運ぶために歩き回っている。これぞ、大衆割烹。活気が溢れている。
とりあえず、ビールを飲みながら、刺身の盛り合わせをお願いしてみた。「大衆割烹」では、なぜか刺身を食べたくなってしまう。
登場したのは、かつおとツブ貝。ツマがしゅっと直立していた。厚切りのかつおを頬張りながら、ビールでではいけないわけではないが、日本酒をお願いしておくべきであったかと思う。
メニューを眺めていたら、目に止まったのが「ぬた」。端的には、酢味噌和えだろうか。きっちり仕事をしているお店だから、きっと「ぬた」に使われる酢味噌も美味しいんだろうなーと勝手に妄想して頼んでみた。たっぷりめの酢味噌がやっぱり旨い。
店内を眺めてみると、日本酒は何種類か置いてあるみたいだったので、日本酒へ。ここで、ちょっと油ものを食べたくなって鯵フライ。ふっくらした鯵の脂と、衣の油を日本酒がびしっと切ってくれる。これは秀逸。
ここで、こちらのお店は「とり吉」なんだし、焼き鳥でも…と思って、「つくね」を頼んでみたら、まん丸のつくねが3つ串に刺さって登場した。つくねというと、ぎっちりした感じのつくねもあるが、「とり吉」のつくねは空気を含んだ、ふんわり仕様。しかも、見ただけだとわからない(当然)が、カレーの風味が漂うつくねであった。オーソドックスなものとばかり思い込んでいた、つくねで意表を突かれるとは…。
再びメニューを眺めながら、気になったのが、レバーペースト。きっと、いいレバーを仕入れているんだろうな、ということでオーダーしてみた。登場したら、クラッカーがレバーペーストに刺さっていた(笑)クラッカーがちょっと足りないくらいのレバーペーストは臭みもなく、実につまみとして優秀。ビールでも日本酒でもチューハイでもなんでもきやがれって感じで、完全になくなるまで、レバーペーストを完食。
うーむ、満足。やっぱり、老舗の実力というか、お客さんが集まっている酒場というのは間違いない。メニューを見た感じだと、鰻は食べ損ねたし、それに鍋物も食べられるらしいし…。なんとか空席を見つけて再訪することを決めた。
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